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2020年6月10日

中国ライブコマースの女王「薇婭(viya)」、NO.1であり続ける理由

みなさま、こんにちは!ようやく全国で緊急事態宣言が解除されました。街中の人の流れも戻り始め、少しずつ日常生活を取り戻しつつあります。政府からの自粛要請後、日常生活が大きく変わった方は多いかと思います。 1ヶ月以上が過ぎた今、宣言解除とはなったものの、以前の日常が戻るには、しばらく時間もかかりそうです。

厚生労働省も新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました。感染拡大を予防するための「新しい生活様式」の実験例として、「買い物」は「通販を利用する」というのがありました。私自身も自粛期間中に、いろんなものを通販で買うよう試みました。旅行ができない、外食ができない、など生活に制限があるストレスフルな状況でしたが、通販をとおして自分が気になっていた食べ物や生活用品など入手できたので、配達員の方々に改めて感謝の気持ちを込めて「ご苦労様でした。いつもありがとうございます。」とお礼を言わせていただきたいです。

コロナ禍で、人と人の対面がリスクとみなされるようになっていますが、「非接触型販売」がこれからどんどん増えることが予想されています。中国では、百貨店や自治体では動画の生配信を使った販売手法を前々回でご紹介しましたが、農村でも農家の方々が畑にスマホを持ちこんで、農産物や産地のこだわりを話しながら、ライブで販売を行うことが流行っています。

中国ライブコマース市場の規模は、2019年の調査データでは、約4,300億元(約6.4兆円)だと言われています。

中国の大手ECタオバオ(TAOBAO,淘宝)傘下のライブ配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」は昨年、GMV(流通総額)が1000億元(約1兆5800億円)を突破したそうです。

そのタオバオライブのNo.1インフルエンサーといえば、こちらの女性-薇婭(viya)です。

(以下のキャプチャーはTAOBAOライブより)

薇婭(viya)は現在35歳で中国の安徽省出身です。元々アパレルのお店を経営していた彼女は2016年にタオバオライブをスタートして、わずか4ヶ月たらずで売上額1億元(日本円約15億円)の事績を挙げました。現在タオバオライブでのフォロワーは2500万以上、毎回の視聴人数は平均的に2000万以上となっています!

今年4月1日、彼女は商業宇宙開発企業と連携し、ライブ配信で史上初の小型ロケットを販売したことで再度話題になりました。元々の価格は4500万元(約7億円)のロケットは、ライブでの特別価格で4000万元(約6億円)に割引き、最初に50万元(約770万円)のデポジットを支払う条件付き。ライブを開始してから2時間後、「ロケットサービスは売り切れた」とタオバオが発表したそうです。

5月21日、夜7時に、「521 viya 感謝祭」が正式にオープンしました。車、家電、携帯電話、高級化粧品などの限定商品の160品目以上を準備、6000万元以上の合計値で、ぞれぞれ全部5.21元期間限定で販売、その日のライブ視聴人数は1億人を突破し、業界の新記録を更新しました。

薇娅viya人気の秘密は何なのか、以下のようにまとめられます

1.基本的には毎日4~8時間の生配信を行います。扱う商品は、コスメ、生活用品、お菓子など、あらゆるカテゴリーを網羅しており、 幅広い層にアプローチしています。

2.薇娅viyaは自分のファンのことを「ヴィアの女」と呼んでいます。ファンと親密な関係を築き、ファンへの好意とロイヤリティを高めています。

3.毎回のライブ配信では、全てこのセリフから始まる “さておき、先ずはプレゼントキャンペーン、賞品の抽選をやりましょう” シンプルで好感を持たれており、一気に人を集められます。

(下図赤い枠のように、その日のライブで抽選キャンペーンに当たる商品の一覧を表示)

4.商品の紹介をする際に、その商品に対する視聴者の不安を払拭するために、自分だけではなく家族やスタッフなどの感想も伝えています。

5.オンライン販売件数を制限しています。緊張感を与えるために、一気に商品を全部棚に上げるのではなく、様子を見ながら、数量を調整しています。

6.おやつの紹介をするときには、それぞれの味を開けて食べてみたり、「辛いものが食べられない人はこれを買わないで、別のカレー味を買ってもいい」と、好みが分かれる人のために種類を買っておくことを勧めたりするそうです。

7.著名人をゲストに招きます。自身の会話にプラスするだけでなく、ライブルームの内容も充実させています。

(ゲストが来るとき、いつも下図のように告知をやっています)

薇娅viyaのライブロジックは、「商品自体の利点+オンラインでの超低価格+ノベルティ」、これはいわゆる「ライブコマース」の鉄則です。

ここで特に紹介したいのは、彼女の商品選定へのこだわりです。

今200名ほどの選定チームで運営しているそうですが、ものの選定は非常に厳しくて時間もかかるそうです。

まずは一次選考を行い、それからは二次の試用段階、その後にレポートを出す、合格したら三次選考に上がります、最後に本人のところまで商品が回されます。

あるイベントに出席した時に、彼女は以下のように自分のこだわりについてこう言っていました。

「まずは、自ら商品を試します。自分の使用した感想と市場全体の口コミをもとに、店舗評価を含めたユーザーの声等に基づいて総合的な評価を行っています。

次は、マーケットの注目度。 例えば、端午の節句になると、粽を用意しなければならないかもしれない、中秋節は、月餅を選ばなければならない、現在の月餅のメーカーの状況やマーケットの調査もしっかりやっています。

最後は、一番重要なポイントで、フォロワーのニーズです。ライブ配信というのは、一人一方的にしゃべるだけでは成り立たないので、フォロワーと会話しないといけない。毎日会話の中では、フォロワーの好きなもの、気になっているところ、そして欲しいものがほぼ把握できるので、フォロワーのニーズに合う商品を選ぶようになりました。」

確かに、そうですね。もちろん自社の商品に適したKOLを起用することも重要ですが、ユーザーメリットも重視しないといけません。現地での口コミやマーケットの全体的な状況に踏まえた上でマーケティング戦略を立てる必要があります。

今後中国に限らず、自社商品の宣伝、販促にKOLを使うことも多くなることが予想されます。今回の記事を通して、皆さんのライブコマースの活用に少しでもお役に立てれば嬉しく思います。

今日は、中国のライブコマースについてお話しましたが、次回は台湾編です!お楽しみに!

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