PACER

BLOG

ブログ

WeChat

その他

ネット媒体

中国ソーシャルメディア

中国マーケティング

中国リサーチ

東アジアマーケティング

2018年7月26日

今、中国で最も成長しているECアプリをご存じですか?

ペイサーブログご覧の皆様、こんにちは!もうすぐ7月が終わり、これからも猛暑が続くようですが、 熱中症にならぬようお体に気をつけてお過ごしください。

今回は、中国で今、最も勢いのあるECアプリをご紹介しようと思います。皆さんの中には、中国のECといえばアリババや京東を思いつく方も多いかと思いますが、実は、昨年からものすごく速いスピードでシェアを拡大している新規参入者が登場してきています。

まずはいくつかのデータを見ていきましょう。月間アクティブユーザー数では、タオバオ、JDの次に、3位に上がってきています。その名は、『拼多多』·pinduoduo。

中国語の名称は『拼多多(ピン・ドウ・ドウ)』(*以下pinduoduo) 。http://www.pinduoduo.com/index.html

『拼』は中国語で『合わせる』という意味があり、ここ数年ネット上で、単(オーダー)を合わせる『拼单』という単語が生まれました。。これは、送料などを抑えるために複数のユーザーが複数の商品をまとめて買う、一人のユーザーがまとめ買いをするという意味です。ここまでご説明すれば、『拼多多』と表記するpinduoduoの特徴がお分かりになりますでしょうか?そうです、このサービスは中国でいう『ソーシャルEC』の代表です。

かつて米シリコンバレーでグーグルのエンジニアをしていた黄峥氏が中国に帰国後、3年前に上海で電子商取引会社の『上海寻梦信息技术有限公司』を創業しました。

中国の大手企業であるテンセント・ホールディングス(騰訊)社から出資も受けているpinduoduoの発展スピートを説明するにあたって、広告クリエイティブの表現の変化を見るととても分かりやすいと思います。

2016年:1億人のみんなが使っている『pinduoduo』

2018年:3億人のみんなが使っている『pinduoduo』

わずか3年で、3億人のユーザーを獲得したということですね。

また、ほかのECとの一番大きな違いは、ユーザー属性ではないかと思われます。下図は2017年末のデータですが、JDとの比較で北京・上海・広州の1級都市、成都・重慶・瀋陽・杭州などの2級都市に次ぐ3、4級都市でのシェアが多い点が特徴です。

アリババとやJDなどと違って、都会の郊外部や地方都市に住む低所得者層をターゲットすることによってシェアの拡大に成功したそうです。同社はわずか3年で中国最大級のECサイトに成長したのです。

業界内では『五環外』(北京市の高速道路網は、中心に近いものから一環、二環などと呼ばれており、五環になるとほぼ郊外になるという意味です)のpinduoduoと言われています。この呼称が示すようにターゲットとしている層は、都会の郊外部とその下層の都市です。

また、年齢別のユーザーデータを見ていきますと、やはり年齢層がやや高めのユーザーが多いようです。

一体、pinduoduoがこれほどまでに一気に拡大に成功した理由はどこにあるのでしょうか?特徴的なポイントを3点ご紹介します。

1つ目は、信じられないぐらいの価格設定です。これは先ほどご紹介しましたように、ターゲットとしているユーザー層の属性と合致しています。中国のいわゆる農村部や低所得層をターゲットにしているのです。

ご存知かもしれませんが、中国では『消費昇級』(消費のレベルアップ)という言い方があります。これはつまり国民所得の上昇に伴い、消費者はこれまで以上に「個性化」「多様化」「高品質」 に価値を見いだし始めているという意味です。これに対して、pinduoduoが歩んでいる道は、まさに『消費降級』ではないかと思われている方もいます。

私が子供の頃に教わったように、中国は『世界最大の発展途上国であり、農業人口が大きな割合を占めています』。北京、上海、広州のような大都会もありますが、もっともっと規模が大きいのは農村地帯だと認識しており、おそらくpinduoduoもそれを狙っているのではないでしょうか。。

実際のにプリを立ち上げてみると、『9.9元』(150円程度)の商品(送料無料)が一番目立ちます。また、商品のカテゴリも面白く、生活必需品や農産品がかなり多点に目を引かれます。

特に話題になっているのは生活必需品です。トイレットペーパーのパックが1ドル・ベッドのシーツが5ドルなど、とても安く買うことができます。(下図、一部サイトから引用、40ロールで20円台~!)


2つ目は、『ソーシャルメディア』を活用したことです。前述のテンセント社が提供しているWeChatやQQといったSNSを活用し、友人や知り合いとのネットワークを利用・拡散させたのです。

例えば、アプリにログインして所定の登録ボタンを押すと毎日お年玉がもらえる機能などがあります。

 

また、商品に対して複数のユーザーが値引き要請をすることによって値引きが実現されるといった機能もあります。ただし、この値引き要請をするためにはアプリをダウンロードする必要があり、ユーザー数拡大をけん引している要素の一つです。

(対象商品を安く手に入れるために、友人に値引きの要請を送ることができます。)


Pinduoduoでは、もちろん単品を購入するだけでもかなりの低価格ですが、下図の芋の例で説明すると、1ユーザーで購入する『単独購買』だと420円ぐらいのところが、複数ユーザーで購入する『発起拼单』が成功すれば、200円ぐらいで購入できます。既定の販売個数が設定されており、この販売個数をクリアすると、かなり割安な価格で商品を購入することができます。例えば、ある商品が欲しいユーザーは、より安い価格で購入するために、WeChatで対象の商品ページを友達や参加しているグループに転送します。これを見た友人も共同での購入に参加することができるという斬新なビジネスモデルを構築しているのです。

(直接友達に送ったり、グループチャット内に情報を転送したりする光景をよく見かけます。)

中国では日本とは違って、このような情報を家族や友人、知らない方(趣味や大学のOB会など)にでも共有することは一般的で、それを見た方も、興味があれば参加します。さらに、商品ページを閲覧する際にも、他のユーザー(まったく知らない方)による共同購入の呼びかけが表示されていますので、それに参加することも可能です。

このように、安くものを手に入れるために自分の友人や知り合い、つまり自分のネットワークを巻き込んで買い物を完了させます。

最後に、もちろん欠かせないのが広告です。

http://www.iqiyi.com/w_19rv1i62k1.html

これはpinduoduoのCMですが、この㎝ソングは同じリズムの同じ歌詞を何回も繰り返しています。まさにindeedのCMソングと同じように、とても耳に入りますし、残りますね。中国では『魔性の広告』とも言われています。(笑)

他には、中国の人気バラエティ番組にひたすら協賛するということも実施しています。現在、テレビや動画サイトを観ると絶対といって良いほど目に触れると思います。

中国のEC市場の競争は依然として激しい状況にあり、独特なビジネスモデルで勝ち抜けて行くしかないですよね。上記にご紹介しましたように、pinduoduoは中国社会の事情を良く理解した上で利用し、かつ下層都市や農村部のユーザーをうまく囲い込む仕組みを作り上げました。これからどんな方向に発展していくのが興味深々です。

もちろん、今回のブログがユーザー参加型のキャンペーンや、都市部だけではなく農村部にも目を向けた点など、皆様が中国向けた今後のプロモーションを策定する際のヒントになれば嬉しい限りです。

何かご質問がございましたら、お気軽に弊社までご連絡ください。

お待ちしております!

 

お問い合わせはこちら

|記事一覧|