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みなさん、こんにちは。早くも11月に突入しましたね。
ご存知のように、新型コロナウイルス危機に陥った中国の国内経済は、少しずつ回復を成し遂げていますが、中国経済のバロメーターとも言われる11月11日に行われる中国最大のECセールキャンペーン「ダブル・イレブン」の実績もかなり注目されています。
まずは中国マーケティングを知る上で外せない国慶節の経済効果を振り返りましょう。
中国では、2020年10月1日から8日の間、建国記念日にあたる「国慶節」から始まる大型連休を迎えていました。
8連休となった国慶節連休中は、多くの人が旅行に出かけました。
日本の観光庁にあたる中国文化旅行部の発表では、新型コロナウイルスの関係で去年より30%ほど減っているものの、 10月1日の国内旅行者が前年同日比73.8%の9700万人、観光収入が同68.9%の766億5000万元(約1兆2000億円)だったそうです。
その他関係部署の統計によると、8連休の折り返しとなる4日までに、国内旅行者数は4億2500万人、観光収入は3120億2000万元(約4兆9000億円)に達したそうです。
2019年の国慶節期間(7日間)の旅行者はのべ7億8200人、国内観光収入は6497億1000万元(約10兆円)に対して、 10月1日から8日までの8日間に、国内旅行者数は累計6億3,700万人に達しており、前年同期比79.0%まで回復したことがわかりました。
Alipayがリリースした国慶節中秋節大型連休レポートによると – Alipayデジタルライフプラットフォームからのデータでは、連休期間中、公共交通機関を利用して旅行に出かける関心度は85%上昇し、観光施設での消費も316%増加したことを示しています。さらに、ショッピングモールの取引はほぼ250%アップしたそうです。(以下詳細図)
新型コロナウイルスの影響で長らく自粛傾向が続いていましたが、中国では観光業界を筆頭に少しずつ数値が回復しているようです。
また、経済復帰のもう一つの重要な指標として、「ダブル・イレブン」(11月11日に行う、いわば「独身の日」セール キャンペーン、以下W11)にも注目が集まっています。
(2019年天猫W11取扱高2684億元、約4兆1,000億円)
(アリババグループが運営する中国最大の小売り( B2C)オンラインショッピングモール(ECサイト))では、 今年のW11は、例年より少し早めに、先着販売を2段階に分けてすでに作戦を開始しています。(上図)。
または、天猫TMALLだけではなく、タオバオTAOBAO、京東JD,拼多多PINDUODUOに加え、抖音DOUYIN,快手KUAISHOUも参戦していますので、2020年のW11は、間違いなく盛り上がります。
それと、毎年のW11は、ブランドマーケティングの戦争でもあります。
各ブランドでは、タレント、KOL、各プラットフォームなどと連携しながら、様々な施策を展開しています。ここからは、2020年のW11で、タレントを起用するプロモーションの事例をいくつかご紹介します。
1.肖像権を使用
肖像権のライセンスは、ブランドスターマーケティングの基本的な権利であり、また、著名人とブランドの協力形態に 関わらず、イメージキャラクター、アンバサダーなど、または似顔絵(イラスト)のライセンスの活用も多く見かけます。
(ユニ・チャーム微博WEIBOより)
2.タレントのSNSで情報拡散
微博(WEIBO)は、有名人のファンとブランドのインタラクティブマーケティングの主戦場として、 W11のファンマーケティングのための必需品であり、フィード広告やハッシュタグと合わせ、いわばタレントを活用した マーケティング手法の定番です。
(スキンケアブランド₋SkinCeuticals のW11先着販売の宣伝をしているタレントの許魏州さんが、自分の微博で投稿していた。)
3.ファン特典(ギフト)
タレントを起用するのは、彼らの知名度によるインプレッション、つまり認知の獲得のためだけではなく、ファンからの コンバージョン(商品の販売につなげたい)が一番期待されているところですので、タレントのオリジナルグッズ、 オーダーメイドギフトボックスの販売、抽選キャンペーンなどの参加しやすい形式は、より効果的です。
(ヘアケアブランド₋シュワルツコフでは、歌手と俳優の羅雲熙のグッズが入っている限定ギフトボックスを先行販売していました。)
4.動画コンテンツの活用
商品ページへの流入を増やすためにブランドは長い間、コンテンツマーケティング、テキスト画像、ミニ動画、ライブ 中継、インタラクティブなゲーム、AR体験などの形式でマーケティング活動を展開してきました。
数多くのコンテンツアイデアの中でも、著名人が関わるものは、スターパワーとクオリティーの高いコンテンツの相乗効果があるため、口コミと売上の両方のコンバージョンを実現できることが多いです。
(スポーツウェアのLI-NING が歌手の華晨宇をイメージキャラクターに起用、宣伝動画では、本人から電話がかかってくるように、直接W11のキャンペーンに参加するようにファンに声かけていました。)
つまり、タレント、コンテンツ、チャンネル、この三つがうまく組み合わせればマーケティング効果の最大化が図れます。
5.ライブ中継
昨年から、ライブコマースがすでにその年の「W11」のメインイベントになっていましたが、昨年の関連レポートから、 タオバオの年間売り上げ成長のうち50%以上がライブコマースを通して得られたそうです。開始わずか1時間03分、ライブストリーミングのガイド取引は、2018年の「W11」の全日を超え、総売上高は200億近くに達しています。
また、タレント自身のアカウントを使ったり、またはゲストとしてメーカーのアカウントに登場する形式もよく見られます。特に今年のW11のライブコマースには参加予定の芸能人が非常に多く、放送時間も被っているところがありますので、同時に複数のライブを見ている人も少なくないそうです。
(エスティ・ローダー 10月13日~21日までの8人の女性タレントさんをアサイン、毎日時間限定でライブをやっていました。)
今年も残すところあと少しですが、2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大のため、中国ではライブコマースが凄まじい発展を遂げました。「中国インターネット発展状況統計報告」によると、2020年9月時点で、中国のネットショッピング利用者の規模は7億4900万人に達し、ライブコマースのユーザー規模は3億900万人に達し、ネットショッピング利用者の 41.3%、ライブユーザーの55%を占めているといいます。
特に上記で紹介していた事例はほとんどが化粧品メーカーで、やはり美容業界の各企業のブランドマーケティングにおいては、主に芸能人の「お墨付き」や「商品利用シーンでの活用」といった見せ方が話題になりやすいようです。
「ブランド+タレント」、「ブランド+利用シーン」、を中心としたコンテンツマーケティングは、ネット上での認知が 広がる一方、ユーザーとのコミュニケーションも自然に増えていきます。
そのうえで、前回のブログで紹介しました小紅書RED でKOLと一般ユーザー(KOC)による商品使用レビューなどと うまく組み合わせれば、より効果的です。
10月21日からスタートしていた2020のW11ですが、
初日から大盛り上がりで、トップのKOL「薇娅(viya)」と「李佳琦(Austin)」は初日のライブで、それぞれ32.21億元と33.27億元の売り上げを作り、そして李佳琦の累計ライブ視聴数は1.62億回、薇娅は1.49億回以上となりました。
今年のW11ではどんな数字が更新されるのでしょうか。期待しています。
それでは、また次回お楽しみに!